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My World

コスチュームジュエリーの魔法

#2 Medecine Douce


個性的でインパクトのある、アッシュ・ペー・フランスのコスチュームジュエリー。それは、クリエイターたちの尽きることのないイマジネーションと、確かな技術に裏打ちされた手仕事から生まれています。 そんな唯一無二のクリエイションが誕生する背景を、クリエイターへのインタビューから探ります。

連載第二弾は、医師の家系に生まれ、人を癒すMEDECINE(薬)を処方する信念を受け継ぎながらジュエリーを制作するMedecine Douce(メドゥスィン・ドゥース)の物語をお届けします。
 


 

クリエイタープロフィール




メドゥスィン・ドゥース


デザイナー はパリ在住のマリー・モンドー。フィレンツェにあるジュエリースクールFUDJI STUDIOで学び、オリジナルブランドMedecine Douceを立ち上げる。パリの職人によって作られるパーツは、自身のアトリエでミニマルモダンなアクセサリーに仕立てられている。2006年、クリエイティブなショップが多く集まるエリア、パリ10区サン・マルタン運河近くに直営店をオープン。
 

コスチュームジュエリーが誕生するまで

いつの間にか、ジュエリーを作るようになって23年が経ちました。大学ではコミュニケーション学を専攻し、その後フィレンツェにあるジュエリースクールで学びました。パリに戻ってからは、フリーランスデザイナーとしていくつかのブランドを手掛け、後にMedecine Douceを立ち上げました。
私は人のために創作する経験を経て、だんだんと自分の翼で羽ばたきたいと思うようになりました。ジュエリーを選ぶという行為が、自分を心地よく輝かせるためのセルフケアだと感じていたこともきっかけでしょう。

エレガントでいて、カジュアルなシックさを常に備えた、パリジェンヌに馴染むジュエリー。大切でありながらも、手が届く親しみやすさ、リラックスしたムードのあるアイテム。私自身、そんなジュエリーを探していたのですがなかなか見つけられず、自分で作りたいと思ったのです。

中庭が美しいマリーの自宅。

今、私は家族と共にパリ11区に住んでいます。周辺にはレストラン、パン屋、ワインショップ、花屋など若者がつくるクリエイティブでいて気取らないローカルなショップが並び、落ち着いた小さな村のようなエリアです。もともと倉庫だった場所をリノベーションした自宅は緑に囲まれ、家の外や中庭に来る鳥たちが最も近いご近所さんです。

 

最近の出来事

オルセー美術館のために制作した独占コレクションを発表しました。19世紀には鉄道駅だったこの建物の建築様式から、インスピレーションを得たデザインです。
このコラボレーションは、パリジャンにも、世界中の観光客にも好評でした。

 

クリエイションの全てはアトリエショップから生まれる

Medecine Douce の歴史の中で大きな瞬間といえば、2006年にアトリエショップをオープンしたことですね。ここで、クリエイションや手仕事、生産の透明性、大切なパートナーとの繋がりといった、私たちの世界観と価値観を体現してきました。
私たちは職人たちと一緒に、全てのアイテムをこのアトリエで製作しています。「メイド・イン・パリ」は、ブランドを始めたときから私たちに根付いているDNAですから!
この場所を作ったのは、ご来店されるお客様に、ジュエリーを作るアトリエの様子をウィンドウ越しに見ていただくためです。
クリエイションとクラフトマンシップを紹介することが、私たちにとってとても重要です。
アトリエショップはサン・マルタン運河のすぐ側にあります。この水の存在が心を和ませ、のんびりとしたムードを与えてくれるのです。
サン・マルタン運河の周りでくつろぐパリジャンたち。
周辺にはデザイナーズショップや独創的なレストランが多く立ち並んでいます。
運河沿いのベンチや近くのカフェChez Prune(シェ・プリュンヌ)で電話をかけたり、コレクションについて考えたりする時間が、私はとても好きです。

 

インスピレーションの源

私は街の喧騒から離れた、隠れ家とも言える自宅で主にクリエイション活動を行っています。メインとなるラインやインスピレーションが決まったら、それを形作り、アトリエのチーフであるセリーヌの手を借りてコレクションを仕上げていきます。
インスピレーションは、眠る前やシャワーを浴びている時、なんだかふと気をゆるめた瞬間に思いがけずやってくることが多く、それがいつまでたっても不思議な感覚ですね。 いつも、魂を込めて、モダンでありながら過去との繋がりがあるものを作ることが大切だと思っています。

コレクションを製作する上で、私が使う道具はとてもシンプル。
ペンチ、ハサミ、ヤスリ...。パソコンの3Dソフトより、手作業で試作品を作るのが好きですね。あと、紅茶とチョコレートも欠かせない相棒です。
 

想いを形にする手仕事

本当のところ、私たちに特別なテクニックというのはありません。ジュエリーの多くは、とてもシンプルな要素から出来ています。
真鍮のワイヤーには、私たちが手を加え、例えばエスタンプ(型押し)のようにフランスの伝統的な装飾技法を用います。全体的にはモダンですが、パーツの一つ一つにはこういった歴史の香りが残ります。コレクションを作り上げていく過程では、その香りこそが私たちを特徴づける「現在と過去を繋げるミックス感」を成していると思います。
 

難しいのは、クリエイションとリアリティの丁度良いバランスを見つけること。ジュエリーはアート作品ではありません。喜びをもたらしながら、快適で一日中身につけられるものでなければ。

Medecine Douceのスピリットを最も良く表しているのは、このブランドのロゴマークかも。手袋は職人による手仕事を表し、葉をつけた茎は環境への敬意、スローであること、自然とのバランスを象徴しています。
これら全てが六角形の中に収まり、ジュエリーに使われる刻印と、私たちの職業の高貴さを表しているのです。

 

2023年春夏コレクションについて

今シーズン表現したかったのは、楽しさや楽観的なムード!これまで以上に欠かせないものですよね。今こそ、自分らしく、自分が自分であることを恐れず肯定すべき、というメッセージを込めました。



明るく楽しい気分になる鮮やかな色や輝き、そして今までより大胆に天然素材を使いました。生き生きとした躍動感によって輝きを放ちながらも、さらっと身に着けられるコレクションを作りたかったのです。

特に今回おすすめのアイテムは、元気なビタミンカラーで自然素材を使ったAcapulco(アカプルコ)シリーズのネックレス。そして、細かな刻みが入ったサークルが繊細に輝くAlmeria(アルメリア)シリーズのロングネックレスです。
Acapulco(アカプルコ)シリーズのネックレス
Almeria(アルメリア)シリーズのロングネックレス
 

今後の活動について

Medecine Douceの設立当初から現在に至るまで、ずっと変わらずファンでいてくださる日本の皆さんに「メルシー(ありがとう)」と感謝の気持ちをお伝えしたいです。
私たちだからこそ醸し出せるこのパリのエスプリを、23年前から少しずつ培ってきた職人の手仕事によって表現する。この理にかなったモノづくりを、この場所でこれからも続けていきたいと思います。


 


2023 SPRING/SUMMER COLLECTION
 

A graphic stroll along the Canal


パリ・サンマルタン運河沿いでの散策をインスピレーションに、異国の旅へ思いを馳せた今シーズン。
メキシコのビーチのようにビタミンカラーが明るく楽しい気分になる「Acapulco」、アンダルシアの降り注ぐ太陽のように、きらきらと繊細な光を放つ「Almeria」、オーバーサイズのチェーンがドルチェ・ヴィータを思わせる「Amalfi」、ビビットカラーのナチュラルストーンやクリスタルグラスで彩られ、ミニマルで洗練された印象の「Antalya」。
サンマルタン運河に描かれたストリートアートのように、大胆で躍動感に溢れるコレクション。


代表取り扱い店舗
goldie H.P.FRANCE各店