パリの秘密　☆二子玉川【JACQUES LE CORRE (ジャックルコー)】

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2023.05.18

『パリの秘密』鹿島茂著　2010年中央文庫より

　パリジャンは犬好きで、犬糞公害がひどいということは以前に述べたが、では、今と同じように犬の多かった十九世紀にも犬糞公害がマスコミで論じられているかというと、不思議なことに、それがまったく見当たらない。それもそのはず、十九世紀まで、いや正確には第一次世界大戦まで、犬糞は皮なめし業の貴重な原材料であったから、街に落ちているのを血眼で拾ってあるく「犬糞屋」という小商いが存在していたのだ。

バッグ　Jacques　Le　Corre ミニリスボン197型　￥154,000（税込）
スカーフJane Carr　￥24,200　(税込)

彼らは小型シャベルと桶を小わきに抱え、犬を散歩させている人のあとをつけていき、ひそかに出来たての「成果」を回収した。一定量がたまると、それをセーヌの支流のビエーブル川の岸辺に立ち並ぶ皮なめしの工場に持って行った。工場では十キロあたり一・五フラン（今日の貨幣価値に換算して約千五百円）くらいで引き取ってくれるので、「数」をこなせば月に三十フランの収入にはなったのである。（中略）毛刈り職人が刈り取った毛もまた大切な商売品であった。犬の毛はマットレスや椅子の詰め物に使われ、いい値段で引き取ってもらえたからである。

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しかし、犬関係の商売で、最も羽振りがよかったのは「犬の仕立て屋」である。犬の仕立て屋とは、文字通り、犬の着る服を仕立てる商売で、人間様にも既製服のなかった時代には、当然、仕立て服を着ていたのだ。

バッグ　Jacques　Le　Corre　スモールリスボン101型　￥159,500（税込）　
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では、どんな人々が犬に服を着せていたかといえば、ペットのためとあらば金に糸目をつけない高級娼婦や上流の貴婦人だった。彼女たちは自分たちのモードに合わせて犬にも豪華な服を新調してやったから、流行っている犬の仕立て屋は、高級住宅街の豪華なアパルトマンに住み、愛人まで囲っていたと、当時のジャーナリストは妬ましげにつたえている。
いつの時代も大金持ちに寄生した者が勝ち、犬についてもこの真理は不変のようである。

バッグ　Jacques　Le　Corre　ミニミニリスボン100型　￥137,500（税込）
スカーフJane Carr　￥24,200　(税込)

1800年代のフランスの皮の歴史について調べてみるとこんな面白い発見がありました。当時の犬のフンは皮革メーカーにとっては貴重な資源で、コートやハンドバッグ、ブリーフケースなど大活躍しました。その後産業革命の間に化学物質のクロム化合物へと置き換わります。いまでいうところのSDGｓ（持続可能な開発目標）の元祖ですね。

ではまた次週まで。

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ではまた次週まで。

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こちらの特集は春夏の新作もりだくさん PART OF ME 23SSからご覧くださいませ！

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【二子玉川店ブログ担当】 -撮影・執筆-　戒田格（かいだいたる）学習院大学大学院フランス文学博士前期課程修了。　　修士論文は19世紀詩人ロートレアモン。学部ではフランソワ・モーリヤックのキリスト教文学とラシーヌ。　goldie横浜店9年→二子玉川店(ただいま2年生)　

･････････････････････････････････････････ ---SHOP INFORMATION---･････････････････････････････････････････【goldie H.P.FRANCE二子玉川店】住所:東京都世田谷区玉川3-17-1　玉川髙島屋S・C　TEL :03-5491-0322 営業時間：10:00～20:00（当面の間）新型コロナウイルスの予防対策や感染防止として、二子玉川店の営業時間が変更することもございます。詳細はアッシュ・ペー・フランスのホームページ、玉川髙島屋ホームページ等で営業時間をご確認ください。

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