今年2月、アッシュ・ペー・フランスが主催する国内最大級のファッションとデザインのキュレーションイベント「rooms EXPERIENCE(ルームス・エクスペリエンス)」の第38回が東京・五反田TOCビルにて開催された。今回はアッシュ・ペー・フランスのクリエイションを凝縮した「ニューラグジュアリー」、ファッションを中心に新進気鋭のクリエイターが集う「ファッションイズファン」、エシカルや地場産業のクラフトアイテムを紹介する「カルチャー&コンセプト」、アート展示や学生クリエイターのインキュベーションを行う「アート感のある暮らし」という4つのコンセプトに沿って会場を構成。



さらに、会期中に生まれる廃棄物(ゴミ)を監修してリサイクルする取り組みも行うことで、エシカルエリアも強化。様々な部屋(rooms)を訪れながら、“クリエイションが人を豊かにする”という企業理念をリアルに体感できる空間が完成した。


AREA 1 New Luxury


2018年11月に発行されたカタログ「アッシュ・ぺー・フランス 装飾美術館」の世界観を、壮大なスケールで再現。設立以来、“クリエイタービジネス”を展開してきたアッシュ・ぺー・フランスの活動を凝縮し、集大成とも言える空間を立体で作り上げた。

<<<装飾美術館カタログページはこちら>>>


Edi Dubien
装飾美術館のメインビジュアルを手掛けたフランス人作家、Edi Dubien(エディ・ドゥビアン)の原画展。エディの作品は、館長であるアッシュ・ぺー・フランス代表の村松孝尚が25年近く追いかけてなお、未知の才能を秘めた“未来からの贈り物”だ。動物に対する愛情や優しさが独自の視点で描かれており、LGBTのクリエイターとして女性から男性へ変化する中で、彼の作風も変化している。
赤いキャラクターは、Ediの心の中に残り続け、度々作品に登場するコラーガル。
左手前は、2018年に発行されたカタログのメインビジュアル。右奥は10年程前に制作された作品『ノアの箱舟』。
EXPO LISBON
20年に渡り愛され続ける、JACQUES LE CORRE(ジャック ル コー)の「LISBON(リスボン)」バッグは、職人の卓越した技術が生きるミニマムなフォルムが魅力。今回は、スタッフが愛用する107個のリスボンを集め、「素材」と「色」へのあくなき探求の軌跡をご覧けるアーカイブ展を開催した。また、このシリーズ誕生のきっかけとなったポルトガル・リスボンの街を背景に、プロのカメラマンによる撮影を体験できるフォトブースも設置。来場者は、それぞれお気に入りのリスボンを持参し、撮影を楽しんだ。

<<<JACQUES LE CORREの商品一覧はこちら>>>
永遠の名作展
村松は1989年パリで、バイヤー Françoise Seigle Carroll(フランソワーズ・セーグル・キャロル)の紹介により、ガラス玉に水とアイビー(蔦の葉)が入ったStefano Poletti(ステファノ・ポレッティ)のネックレスや、試験管を並べて花器にしたTsé&Tsé associées(ツェツェ・アソシエ)と出会う。素材の価値が基準だった時代に、クリエイションによって“もう一つ”の価値を提案する彼らは、“クリエイションが人を豊かにする”というアッシュ・ぺー・フランスの原型をつくった。「永遠の名作」コーナーでは、歩みを共にしてきた時代を代表するクリエイター達の作品を厳選して展示した。
“四月の花器” – Tsé&Tsé associées(左手前)
“Botanicus” – Stephano Poletti
CHRISTOPHE COPPENS
帽⼦デザイナーとして活躍後、芸術作品のみを創る「アーティスト」へと転⾝したCHRISTOPHE COPPENS(クリストフ・コパン)による6年ぶりのアーカイブ展。今回は過去から未来へと繫ぐための“儀式”と自ら語った作品、『Landscpe2』と『Early Paintings』を展示。
Ante Vojnovic
ミニマリズムで光と水のフランス人彫刻家Ante Vojnovic(アンテ・ヴォジュノヴィックは、。20年近くアッシュ・ぺー・フランスが提供した埼玉のアトリエで制作活動を行った。その他、館長・村松が長年衆蒐してきたアートのコレクションを多数披露した。
ÉCOLE DE CURIOSITÉS
パリのブランド、ÉCOLE DE CURIOSITÉS(エコール・ド・キュリオジテ)のインスタレーション。ブランド名はフランス語で直訳すると“好奇心の学校”を意味し、パリのアトリエを学校のように捉えて発信している。フランスの手仕事の歴史を大切に、国内の工場と協力しながらメイドインフランスにこだわったものづくりを続ける。代表的なアイテムの一つである「La Bouquiniste(ラ・ブキニスト)」は、1900年代から1950年代にかけてのヨーロッパの旅行ガイドブックやフランス文学など、古い書籍を用いたハンドメイドのクラッチバッグだ。

<<<ÉCOLE DE CURIOSITÉSの商品一覧はこちら>>>
2019年春夏コレクションを展示。
“La Bouquiniste”
H.P.DECO
“アート感のある暮らし”をテーマに、H.P.DECOがインスタレーションを行ったエリアでは、アートを取り入れたライフスタイルを提案した。空間デザインやディスプレイはすべてH.P.DECOのスタッフが手掛けたもので、空間ごとに異なる雰囲気を演出している。
ASTIER de VILLATTE(アスティエ・ド・ヴィラット)の陶器やJOHN DERIAN(ジョン・デリアン)のデコパージュをコーディネートした空間。
Bazar et Garde Mangerのバイヤー、マルト・デムランの部屋には、彼女がパリや南仏で見つけた一点物が並ぶ。
ASTIER de VILATTEと村松のコラボレーションで誕生した「コレクション・バンシャク」。会期中はスペシャルムービーも上映された。
JACQUES LE CORREのリスボンとJOHN DERIANのコラボレーション作品の展示。
「アッシュ・ぺー・フランス 装飾美術館」MUSEUM SHOP
アッシュ・ぺー・フランスのクリエイションをたっぷり堪能した後、最後はミュージアムショップでお買い物も。スタッフから商品一つ一つのストーリーを聞くことで、また新たな魅力を発見できる。

AREA 2 Fashion is Fun


新進気鋭のデザイナーをはじめ、ファッションを中心に幅広いジャンルのアイテムを集めたエリア。
spoken words project
手作業を活かした染色やプリントを施した服作りを行うspoken words project(スポークン・ワーズ・プロジェクト)は、作業用の白衣や雑巾によるインスタレーションでアトリエを再現。洋服の購入者に合わせて染色するカスタムイベントを実施した。
D-due&Tramando
スペイン・ガリシア地方を拠点とするD-due(デ・ドゥエ)と、アルゼンチン発Tramando(トラマンド)という二つのテキスタイルブランドを紹介。Tramandoは、プレス機を使用してプリントの実演プロモーションを行った。
Fil D'araignee
デザイナーの宮島さよ子は長年パリで活動した後、パリ滞在中に知り合った村松と組んで、2002年春夏よりFil D'araignee(フィル・ダレニエ)を発表。「フィル・ダレニエ」はフランス語で“蜘蛛の糸”を意味する。
ハンガーホリック
“娯楽室”と“再創造”という二つの意味を持たせた造語『re:creation room』をテーマに、木製ハンガーによるインスタレーションを実施。誰もが知っている身近なアイテムだからこそ、視点を変えることで未知の発見に繋がる面白さを表現した。
ジュエリーエリア
drama H.P.FRANCEがディレクションを手掛けたジュエリーの空間が出現。日本人クリエイターの作品を紹介するほか、期間中はジュエリー制作や刻印のワークショップも多数開催し、ジュエリーの魅力や奥深さを発信した。
ファッションイノベーション展
文化ファッション大学院大学や大阪文化服装学院など服飾学校が参加し、学生が作品を展示。さらに、文化ファッションリソースセンターの全面的な協力のもと、KENZOやヨージヤマモトといった日本のファッション界を代表するブランドのアーカイブ展を実施。

AREA 3 CULTURE & CONCEPT


「倫理的・道徳的」という意味を持ち、環境や社会に配慮する⽣産・消費・⾏動につながるエシカルブランドやプロジェクトと、伝統⼯芸、⺠芸、地場産業や地域の特性を活かしたクリエイションなどを幅広く紹介するエリア。
エシカル活動の「⾒える化」
再利用可能なウッドパネルで制作したエントランス。廃棄物処理業者 ナカダイとroomsが共同で取り組んできたリサイクルの実績や、アッシュ・ぺー・フランス エシカル事業部の活動をパネルで紹介。展⽰会中に排出されるゴミのリサイクル率100%を⽬指す。
YKK
創業以来80年に渡りファスニング事業を展開するYKK。障害者にとって、衣服の着脱過程で最も不自由すると言われるファスナーの仕組みを一新し、最新のユニバーサルデザイン「click-TRACK®」を発表。どんな人でもファッションを楽しめる形を提案する。
CLOUDY
roomsエシカルエリアでブランド初期から紹介し、人気上昇中のCLOUDY(クラウディ)が新作を発表。アフリカで生産することで雇用を創出し、現地の工場には500人の雇用者と、三つの学校を建設。新しいエシカルブランドとして存在感を強めている。
大西常商店
今回が初出展となる京扇子専門店の大西常商店は、次世代へ扇子を普及するため、老舗の技を活かした新たなものづくりに挑戦。「色と香り」をテーマに、オールメイドイン京都の香りつき扇子とフレグランスを提案した。
フィンランド・オウル市
フィンランド北東部に位置するオウルは自然豊かな地方都市で、環境に配慮した個性溢れるプロダクトを生み出す企業やデザインブランドが近年注目を集めている。今回、オウル市政府がroomsに初参加し、新しいオウルの魅力を発信した。
みかわち焼き 300枚の豆皿市
400年の歴史を持つ長崎県のやきもの「みかわち焼」は、実写的な動植物の細工や、細かい絵文様の染付、立体的な絵付けが特徴。今回のroomsでは300種類以上の豆皿を並べ、パッケージで提案することで、みかわち焼の新たな魅せ方に挑戦した。

AREA 4 アート感のある暮らし


学⽣クリエイターのインキュベーションを⽬的に立ち上げた新プロジェクト「TNG(トーキョー ノー ジャンル)」や、hpgrp GALLERY TOKYOディレクションによる3人のアーティストのライブペイント、若⼿アーティストの活動をサポートするtagboat(タグボート)のギャラリーなど、アートに特化したエリア。
TNG(トーキョー ノー ジャンル)
“no Genre”というテーマの通りジャンルを問わず学⽣の作品を募集し、書類審査を通過した11名が出展した。初⽇には「TNGアワード」を実施し、3人の審査員がそれぞれ作品を選出して表彰を行った。
TNGアワード受賞作品『おどりこ』
「枠や素材に捉われず、自分の培った感覚をそのままアートとして表現したような作品。一見無駄な動きでもそこに愛おしさを見出し、新しい価値へと変化させる柔らかさに大きな刺激を受けました。」(審査員: hpgrp GALLERY TOKYOディレクター 坂井俊之)
TNGアワード受賞作品『一週周ってつらい』
「本当に作ることが好きという非常に当たり前だけど純粋な気持ちが制作に溢れていました。」(審査員: magma)
TNGアワード受賞作品『Natsuki Kawase』
「ゆるキャラ風の作品ですが、展示の細部に渡り計算されたクリエーションを感じました。」(審査員: Lamp harajukuディレクター 矢野悦子)
松岡マサタカ
3日間、日替わりでそれぞれのアーティストがライブペイントを実施。2日目はイラストレーターの松岡マサタカが登場した。
ART in SCENES
hpgrp GALLERY TOKYOが提案する、100通りのアートの楽しみ方。左はIzumida Lee、右は庄島歩音のライブペイントによる作品。


毎回「rooms EXPERIENCE」のメインビジュアルを手掛けるデザイナー 池澤樹。アッシュ・ぺー・フランスの企業理念に共感し、“愛”をテーマにジェンダレスなビジュアルを制作する。
ホテルロビーの雰囲気を演出したエントランスには、ブルックリン発ティーブランド BELLOCQ(ベロック)のラウンジを設置。ハーブティーの試飲や茶葉の販売を行った。
コシェルドゥによる「起きあがり⼩法師」のワークショップ。
恒例の、ネゴシックスによる似顔絵コーナーが今回も出現。
東京・桜新町のおはぎ専門店「タケノとおはぎ」が出展。
会期中のパーティでは、「FABIENNE」がパフォーマンスを披露。
ギャラリー tagboatが出展し、29⼈のアーティストが作品の展示販売を実施。
フィンランド・オウル発の若手バンド「uuni&Olkimaa」が来日し、ミニライブを開催。


2020年に20周年を迎える「rooms EXPERIENCE」。今後もアッシュ・ペー・フランスの文化を発信すると共に、お客様へ新たな感動体験をお届けする場所として進化していく。

【rooms EXPERIENCE 39 開催決定!】
■会期: 2019年9月4日(水)~9月6日(金)
■会場: 五反田TOCビル 13階