How people live in Paris

CONCEPTOR 髙浦敬子




パリの街でよく見かけるパン屋は、日本でいえばお米屋さん。近所に住む人たちの毎日の主食を支えています。その次によく目に入る薬局。こちらも住人と顔見知りで、地域と密接につながっています。八百屋、肉屋、魚屋、チーズ屋、ワイン屋、各国出身者の経営する自国料理の惣菜屋、ショコラティエ、パティスリー、花屋、専門書に特化した本屋に同じものはひとつとしてないクリエイターのアトリエ兼ブティック。それぞれ専門知識を持ったプロが選んだり、作ったりした自慢の品物が店の中にならび、質問には聞いたこと以上の答えが返ってきます。街の社交場であるカフェやレストラン、そして毎週立つ市にやってくる人々、こうした小規模の個性豊かな専門店が、人と人との会話を生み、賑わいをもたらし、街を活気づけているのは、パリの特徴的なひとつの側面です。



しかし、ここ数十年フランスを含むヨーロッパで、こうした専門店が経営を続けられなくなり、鉄のカーテンが下がったままの景色がどこまでも続く、中心街の砂漠化があちこちで起こる状況は、あまり変わっていません。これは、私たちが買い物をするときに、いくつかある条件のうちの何を優先するかで、パリの街並みも変わってしまう可能性がある。
そんな中、30代前後の人が経営する小さな専門店が、ここ数年少しずつパリに増えています。出身地の農家や農場と契約した新鮮で味の濃い食材を取り扱う店や、新しいスタイルのカフェ、クリエイターが共同で経営するブティック。意気投合した何人かで、工夫しながら、お客様と楽しみながら、少しずつ形を変えて、これからかたちを探っています。
馴染みの店で、近況を語り、情報を交換して、またね、と挨拶を交わし、また別の店に入る。便利さや効率ということよりも、笑顔とたわいもないおしゃべりから生まれるささやかな楽しみの積み重ねが、パリを美しくしている。この街に住む人は、どんな風に暮らすかは、どんな街に住みたいかにつながっていることを知っているようです。