Nathalie Lété 「usagi ningen」- INTERVIEW Archive -



2019年10月、Usagi pour toi 20周年を祝して、Nathalie Létéが来日します。Le Monde de Nathalieでは、ナタリー・レテがUsagi pour toiの為に描き下ろした21枚の「usagi ningen」のデジタルプリントオーダー会やスペシャルグッズ発売を行います。1999年のオープンからナタリー・レテのアートワークをショッピングバッグやシーズンのDMに起用してきたUsagi pour toi。そして、アッシュ・ペー・フランスとナタリー・レテの出会いは今から30年以上前に遡ります。来日に先駆け、以前行ったナタリー・レテ本人へのインタビューをここに掲載いたします。彼女の生い立ちから日々の暮らしのこと、創作の原点が散りばめられた内容となっています。





Nathalie Lété INTERVIEW


ーご自身について教えていただけますか?

私はフランスで、52年以上も前に生まれました。アジア人の父とスラブ人の母の血が混ざっています。自分で思うには、色の感覚とかフォークロア・アートへの関心、メランコリックでロマンチックな一面はおそらく母方から、そして仕事熱心な面や自然や鳥、森の動物たち、童話からのインスピレーションなどについては父方の血を引いている気がします。子供の時からずっとそうでしたから。今でも私は、自分が5歳だった頃と同じ夢と熱意をもって、自分の手を使って何かを作っています。私は孤独が好きなタイプだと思います。そうは言っても時々人に会うのも好きですが。でもそのあと、やっぱり一人になって自分と向き合って創作する時間が、また新たに必要になるのです。私が好きなものは、ダンス、ピアノ、鳥の歌声、教会の鐘の音、ミルラ、ムスク、オレンジの木、ローズ、そして菩提樹の香り、山 、庭 。海辺で見る日没 。 薪が燃えるさまや灯されたキャンドルの火を見ること。小川の水のせせらぎや空に浮かぶ雲を見つめること。甘辛い食べ物、もち 、グ リーンティー、赤いフルーツ、祖母が作ってくれたリンゴのケーキ、それに建築。古い家でだれが昔住んでいたかを想像すること。同時に、モダン建築も好き。コンクリート、木材、ガラス、光、でもちっぽけで貧相な空間も。そして、いろいろなヒストリーや何か新しいものを発見した時に感じるエモーションも好きです。一方で私が怖いものは、水、運転、騒音、人の叫び声。人混みも嫌いですね。18歳の頃、ある占星術師に、『あなたはアートで成功する人です』と言われました。以来その啓示にしたがい、造形美術の学校、ボザール(高等美術学校)を出て今に至っています。

ーあなたはとても幅広い制作活動をされています。デザイナーとして、またアーティストとしての側面という2面だけでは収まらないように感じます。ご自分では自分自身の活動をどのように見られているのですか?

私は自分自身を造形美術のアーティストだと思っています。自分にとって大切なことは『クリエイション』『作る』『具現する』ということで、それはこれまで存在しなかった何かが、自分の想像から出てきてそこに命が宿り、世界に何かを産み落とすという感覚です。でもね、私はよくフラストレーションを感じるのです。まだまだ他にもたくさん作りたいものがあって、他にも学びたいテクニックがありすぎて。でも時間と機会がたりず、自分の日常では特に絵を描いているというところですね。

ーあなたの世界観は、まるで絵本の中に迷い込んだようでもあるのに、その端々に大人の女性の棘や毒をも感じます。あなたのクリエイションの源はどこにあるのでしょうか?

私の作品を見て感じることは本当に人さまざまで、ある人は作品から放たれる幸福感のようなものを見出すかと思えば、別の人はメランコリーを感じたり、そこに恐怖感や不安を感じ取ったり、ポエジーを読み取る人もいるでしょう。もちろん私の作品はそういったすべての混合なのですけれど。私の創造の作業はセラピーでもあります。それは、私の作品が人生の中で他者や自分に関して持つ感情が難なく読み取れる開かれた本のようなものだからです。だから、人生の中でその人がどういう状況にあるかによって人それぞれが感じるあらゆる感情が大なり小なり混ざって汲み取れるわけです。私の喜びや幸福感、不安感。そういったものが創造のテーマになっていると思います。今年は私の夢の中の庭をテーマに本を作る予定なのですが、今回は特にポエジーとか優しい穏やかさをそこに出したいと思いました。私は今、人生の中でより美しいものを探したい、怖くて不安なおどろおどろしいものより『喜び』の方に向かいたい、そういう時期に来ています。世界には既に恐ろしい出来事が十分にありすぎますから。私の創造の仕事は『忘れる』ためでもあります。



ーあらゆる素材を用いて制作されていますが、もっとも自分らしさを表現できる素材は何だと思いますか?また制作する際に、初めに素材があって作品になっていくのか、またはイメージがあって素材を選ばれているのですか?

私はいつも最初にテーマを考えます。それからオブジェですね。テーマとか色目の世界観が最初にあって、それを具現するのに素材を選びます。 素材は自分の表現のツールになります。

ーあなたの作品はどれも色が溢れています。あなたにとって「色」とはどのようなものですか?また一つ選ぶとしたら、あなたらしい色とは何色でしょう?

色全体が、いつも私をエキサイトさせてくれます。 色はまるで、何と言ったらいいのかな、会話のような もので、ある一つの色にまた別の色が加わり会話 がはずんで広がっていく感じです。ポイントは色同士をうまく遊ばせることですね。私らしい色ですか? グリーン、ローズ、サーモンカラーが好きかなあ。 視点を変えると選ぶ色も変わって、たとえば自分の着る洋服なら、ローズ、赤、グリーンが多いのですけど、インテリアデコレーションになると、ゴールドとかターコイズブルーなどになってきます。

ーこれから作ってみたいもの、携わってみたいプロジェクトなどはありますか?また今進めている プロジェクトがあれば教えてください。

「未来に絶対」と、自分の心に決めているのは、建築家のプロジェクトに参加するコラボレーションです。彼らのホテルやレストランのプロジェクトに参加して内装を担当したり。あと一つ、とても興味があるのは、色々な国に旅行してその国の職人芸に触れ、一緒にコラボレーションすることですね。その国のアーチザン(職人・職人芸)に触れ、その文化とノウハウを自分の世界観とリンクさせること、それをぜひやってみたいです。



ーフランス、リールの美術館で回顧展を開催されましたが、どのような経緯でこの企画の開催が決
まったのですか?


まったくの偶然なのです。このリールの美術館La Piscine(ラ・ピシーヌ=プールの意で実際にプールが存在した場所にその面影をとどめた美術館)にある展示を見に行った際、美術館のディレクターとカフェを一緒に飲んだのですが、その時自分の名前を名乗ったら彼女が「あなたのクリエイションはよく知っています。あなたのキャバ(わらやプラスチックで作った買い物バッグ)la Sylvette et son amoureux(ラ・シルヴェット・エ・ソン・アム ルー=シルベットとその恋人の意)を私はみんなに9回も続けてプレゼントされたんですから」と言われて。そのバッグは鳥のデッサンと『la Sylvette et son amoureux』って文が書いてあるバッグなのですが、ディレクターの名前もシルベットだったんです。 こんな話をきっかけに、とても会話がはずんで、その後彼女がパリの私のアトリエを訪ねて来た時、この回顧展のプロジェクトが決まりました。

ーこの回顧展を通じて、ご自身に何か変化のよう なものはありましたか?

この回顧展を経て、私は自分の仕事や作品と自分を切り離すことができるようになりました。 まるでページをめくるかのように。それまで私は、作ったもの全てをいつも手元に置いておきたくて、それらを全てまとめて一度に見せるまでは手放せ ないと思っていたのです。今回そのすべての作品を同時に見せることができて以来、誰かたとえばコレクターの方が欲しいと望むのであれば、自分の作品を手放す、離れることができる、それを今では受け入れることができる自分になりました。

ー30年近くも作家活動をされています。本当に驚きです。創作活動の原動力となったもの、また創造性を維持できた理由は何なのでしょうか?

私は毎日何かを創造する必要を感じます。本当にそれが自分の日常生活の中の《必要》なんです。 私は常に、まだ話していない新しいヒストリーを語り続けたい、と感じています。そんな思いが自分のモチベーションの根底にある気がしています。

ーあなたの制作するもの、それらはどこかあなた自身のために作られたように私には感じられるのです。あなたの世界の一部を補うような。あなた自身はどのように思われますか?

あなたのおっしゃる通りです。その通りなんです。 間違っていませんね。

ープライベートでは2人のお子さんがいらっしゃいます。 母親であるということをどのように思われますか?

仕事で得るのとはまた違う喜びや満足があります。 母親であることで、自分の生活がよりレギュラーになるというか 、規則をもって責任感が生まれますね。例えばですが、私は18時には家に帰って食事の準備をしますから。

ー母親であることは、女性であることと同じくらいあなたの創作に影響を与えていますか?

母親であることが自分の創作活動に影響を及ぼしているとは思いません。創作している時は、あたかも自分が少女になったような感じで、本当に自分を母親であると感じないのです。一つだけ例外的に影響があったとしたら、それは《子供のおもちゃ》をテーマに仕事をした時ですね。

ー女性にとって生活のしやすい世の中になってきていると感じますか?

私のジェネレーションとして、そしてフランスに生きる女性として考えたとき、今の世の中が女性にとって生活しやすくなってきているとは思いません。というのも、私はこれまでの人生の中で、一度も個人的に男性と比べて女性であることにフラストレーションを感じたことはありませんから。だから過去も今も変わっていない。自分にとっていつもこうでしたから何も変わっていないと感じます。ただ、世界に目を向けた場合、世界レベルで言ったら、国によってはとても改善されて、昔より女性が権力をもって、より平等に近づいてきているというケースもあると思います。でも自分自身にとっては何も変わっていないですね。

ーどのように家庭と仕事を両立しているのですか?

バランスを考えながら、時間帯を決めてコントロールしています。たとえば、18時になったら私は《主婦》であり、家族に向き合う時間としてキープします。



ーあなたにとっての青い鳥(幸福の象徴)とはどのような姿をしていますか?

4つ葉のクローバーのイメージかな。4人構成の家族の象徴でもあるような気がします。

ー忙しい制作活動のなかで 、どのようにリラックスしていますか?

毎週末、家にマッサージ師に来てもらっています。それから夫と映画を観ることかな。あとは何も考えないことですね。

ー家で過ごす時間を豊かにする秘訣があれば教えてください。

私はよく異なるテキスタイルをミックスします。 たとえば、ホテルに泊まって、その部屋がすごく殺伐としていたり、すごく趣味が悪い時は、ちょっと素敵な生地をベッドやソファーの上に投げかけて覆うだけで、そこに魂が宿ります。きれいなプリント柄の生地が息吹を吹き込むのです。それから、 壁にお気に入りの、気持ちが良くなる、何か素敵な気持ちを彷彿とさせるイメージを2つ3つ掛けて飾るだけでも空間が変わります。あとはろうそくを灯したり、花のブーケももちろん!

ー最後に、あなたにとってのアート感のある暮らし(l’Art de Vivre)とはどういうものでしょうか?

自分の時間を大切に保持すること。 自分の身の回りに起きていることを熟考すること。 旅に出ること。



Photo.Don Carney


Nathalie Lété : ナタリー・レテ
子供のころの想い出や日々の暮らしの中からインスピレーションを得るという彼女のカラフルな作品は、
ユーモラスでハッピー、そしてどこかシニカル。絵画やセラミック、テキスタイル、リトグラフなどを制作する他、
彼女が描いた絵を用いて世界中のデザイナーや企業とコラボレーションを行い、多くのファンを魅了し続けている。



Nathalie Lété「usagi ningen」EVENT SCHEDULE

- ナタリー・レテ来日スケジュール
Le Monde de Nathalie 10月10日(木)15:00〜17:00
H.P.DECO 10月10日(木)18:00〜20:00
Usagi pour toi 大阪店 10月11日(金)15:00〜17:00
Usagi pour toi 福岡店 10月13日(日)15:00〜17:00

- 主なイベント内容
*「usagi ningen」デジタルプリントのオーダー会、スぺシャルグッズ発売
Le Monde de Nathalie、Usagi pour toi 各店
10月10日(木)~10月31日(木)
*「usagi ningen」原画の発売
H.P.DECO 10月10日(木)~10月14日(月) 
アッシュペーブチック 10月19日(土)~10月27日(日)