ラフォーレ原宿 40周年対談


アッシュ・ペー・フランス株式会社 代表取締役 村松孝尚 × 株式会社ラフォーレ原宿 代表取締役 荒川信雄



時代の変化と共にトレンドを真っ先に映し出し、最先端のファッションとカルチャーを世界中に発信している「ラフォーレ原宿」。
10月28日(日)の開業40周年を記念し、「WALL(ウォール)」が “お引越し”をテーマに、ラフォーレミュージアム原宿にて40ブランドによる大規模なイベントを開催した。1984年にアッシュ・ペー・フランスの一号店がラフォーレ原宿の地下に誕生し、共に独自のカルチャーを発信し続けてきた二社の代表が、40周年という節目に対談を行った。


村松孝尚(以下村松) まず始めに、ラフォーレ原宿開業40周年、おめでとうございます!
長い間ずっと一緒にお仕事させていただけること、本当に感謝しています。

荒川信雄(以下荒川) こちらこそ、ありがとうございます。
とくに、村松社長のチームはラフォーレにとって親戚以上の存在ですよね。テナントさんというより、家族に近くて。通常、会社どうしの関係とは誰かが窓口となるものですが、アッシュ・ペー・フランスの皆さんとは世代を越えて、様々な場面でハシゴのように色々な人と関わることができ、有難い関係です。



“個”が存在する場所


村松 ラフォーレ原宿で生まれ、成長してきたからこそ、今のアッシュ・ペー・フランスがある。同時に、私たちもラフォーレさんの“縁の下の力持ち”としての一端を担っているという自負も感じています。あと、二つの会社に共通して言えることは、大事にしてきたものが一緒だなと。

荒川 嬉しいです。そうですね。アッシュ・ペーさんは“原宿プロジェクト(H.P.)”が社名に使われていて、その“原宿愛”がベースになっている。約140の個性的なお店が入っているラフォーレでは、色々な人が働いています。動物園のような、おもちゃ箱のような状況を上手くまとめるのではなく、プロデュースすることで一つ一つが重なり合い良い形になる。そして、それを後押ししてくれるのが、原宿という街だと思います。

村松 まとめるのではなく、“個”としてちゃんと存在させる。それがラフォーレさんであり、原宿であり、アッシュ・ペー・フランスであると。

荒川 村松社長にとって、原宿とは何ですか?

村松 会社のコンセプトそのものですね。才能を持った個性的な若者たちが集まってそれぞれが存在できる場所であると思います。そして、そんな会社を作りたいと思いました。個をまとめるのではなく、バラバラで良くて。むしろバラバラだと個が強くなるんです。





ファッションとは自己表現の手段


村松 ファッションは、自分を表現する一番身近な手段ですね。80年代前後、街は規格外のファッションをする個性的な若者で溢れていて、とくにラフォーレが誕生したことでより一層盛り上がりましたよね。

荒川 たとえば私にとって、“コーディネート”という言葉は、優等生になるためどんどん標準化していくイメージですが、ラフォーレ原宿は“ミックス”なんです。
感情的に、洋服もアクセサリーも靴もごちゃ混ぜにしたカオスな状況。足し引き算じゃなくて、掛け算の世界。個性的なクリエイターばかりがぶつかり合う「WALL」はまさにその代表格ですよね。それが、原宿ファッションやWALLの強さであり、良さだと思います。
村松社長は海外のクリエイターと繋がりながら原宿ファッションも上手く取り入れてミックスしているところが、すごく上手いというか、ずるいですよね(笑)。俳優を引き立てる映画監督のように。

村松 荒川社長はファッションとどのように関わってきましたか?

荒川 学生時代から原宿で買い物をしていましたが、僕が選ぶスタイルはプレッピーないわゆる正統派。だから、週末だけ竹の子族になるクラスメイトを見て、個性的なファッションができる人に憧れました。そして、そういうクリエイティブな人たちがステップアップできる受け皿になりたいと思い、この会社に入りました。憧れのスポーツ選手のユニフォームを着ると、自分も強くなった気がする。何かが乗り移って、モチベーションを上げてくれることが、ファッションの楽しさであり、みんなの根本にあるものを表現する、自己実現の手段だと思います。

村松 私も、何かに秀でていたり、自分で絵が描けるわけじゃない。だから、“クリエイティブであること”に対する憧れがすごくありますね。



原宿という街の未来


村松 40年前、日本の若く名もないクリエイターが表現できるプラットフォームとしてラフォーレ原宿が存在し、その線は今までずっと繋がっていると思います。だけど、考え方もエネルギーも変化したこれからの時代、どのように進化していきますか?

荒川 海外から日本にやって来る色んな才能が何かをしたいと思った時、ラフォーレがその受け皿でありたい。そこで、また新しい出会いや発想が生まれたら嬉しいですし、一方で新進気鋭のクリエイターたちが、日本から世界へ羽ばたいていく姿を期待したい。
村松 世界から見ると、最近は日本のカルチャーとして、ファッションもアニメも当たり前になってきていると感じます。この状況を打破するためにも、日本のファッションの中心であるラフォーレ原宿から、私たちが大切にしてきた“個”の存在を発信し、独自の文化を世界に魅せていって欲しいです。

荒川 そうですね。あとは、ラフォーレ原宿単体ではなく、“原宿”というエリアを盛り上げるために何ができるかみんなで考えていきたい。
そのきっかけの一つが、2020年の「明治神宮鎮座百年大祭」ではないかと。この街の背景であり軸である存在に、感謝する気持ちで、原宿や表参道が一丸となれば良いと考えています。新宿があれだけ成熟し、今再開発が進む渋谷にも新たなシンボルが建つ。一方、この原宿・表参道は平面的で、ストリート文化が唯一残るエリアになると思います。歩いて発見することの楽しさや面白さをもう一回クローズアップしてもらえるのではないでしょうか。

村松 東京の至るところに高層ビルが建ち、極端に立体的になっている中で、原宿エリアの地べたな感じが良い。アッシュ・ペー・フランスの横に広がるデパートである青参道もそうですが、今後、このエリアがストリート文化を再発見する場所として成長していって欲しいと思います。