JACQUES LE CORRE パリ物語Vol.06


2000–01秋冬コレクションから、Jacquesがアートディレクションを担当し、シーズンコレクションカタログの作成を始めます。「カタログを自分で監修することで、完璧に自分の仕事を成し遂げられる」と話していたように、作るごとに変わる様式、大きさや色が、JacquesとMasumiの創造の意図を伝えるものとして、世界中に送られていきました。連載第6回目はCatalogue。Jacquesがアートディレクションしたカタログと写真をご覧ください。
Jacquesは、デザインするだけではありません。彼は、出会ったものすべてから思い描くカタチを、彼自身が持っている非常に高い技術力で具現化することの出来る、数少ない人です。そうしたこともあり、作品の完成度については、他を寄せつけないこだわりを貫きました。また、こうした姿勢は、彼が手掛けたカタログ制作にも現れています。

牡蠣とバッグ、鯖の骨身とリスボン、帽子とパスタ、骨髄入りの骨と靴。作品と料理の写真を並べて見せるという、とてもシンプルな構成で作られた2001年の春夏カタログ。Jacquesの親友の一人である、料理研究家のマリーさんに協力してもらいました。その美しいヴィジュアルと編集の完成度の高さに、写真集と思う人もあり、世界中で多くの人の想像力を刺激するものとなります。Jacquesの視点は、 ブランドに対する印象を進化させ、ParisのJACQUES LE CORREを再び強く印象付けます。
2001-02秋冬、それまでにない大きなカタログが完成します。Jacquesの蒐集品であるオブジェの一部をコンピュータグラフィックで処理を施し、水面のようにゆらぐ表紙に印刷された、漆黒に浮かびあがる水滴の花。半年後に控えたBoutiqueオープンを心待ちにするJacquesとMasumi二人の思いを乗せて、世界中へ送られました。
そして、その年の10月にBoutique JACQUES LE CORREがオープンします。黒い店内に大きく伸びやかに浮かぶ、あの水滴の花が、サントノーレ通りを歩く人の足を止めます。作品を作ることから売ることまでを思い描いた通りにやり遂げるという、Jacquesの思いが実現します。



山口小夜子さんをモデルとして迎えた2003年春夏のカタログ。 Jacquesは絶好の機会を得ることが出来て喜びながらも、撮影中はそれまでになく苦しみます。すでに強いイメージを持つ彼女を、JACQUES LE CORRE のカタログモデルとしてどのように表現できるのか、手応えのある大きな挑戦となります。彼女の持つ日本のエスプリとJACQUES LE CORRE の持つパリのエスプリが絶妙なバランスで混じりあい、満足のいくものが完成します。山口小夜子さんにとっても、印象深い仕事となり、その後も親交が続きました。

この直ぐ後に制作された2003年秋冬のカタログから、Jacquesはおもちゃの人形をモデルに撮影をするようになります。
「Jacques!天才的。人形が生き生きしている」
「On les a trouvées à Kyoto! ムッシュ・サンジュとマダム・サンジュ、覚えてないのかMasumi」
「Uhhh…Jacques、実はロマンチストとか…」
「Naturellement! 知らなかったのかっ」
パリではもちろん、行く先々で、二人は必ず蚤の市を訪れて、気にいった人形を購入しモデルとして起用しました。撮影された写真に写るおもちゃの人形は、独特な存在感で、写真の中から見るものに語りかけてきます。この少し前から、Jacquesはぺルマナーンスについて、改めて考え始めていました。独りで次々と異なる帽子を作るスタイルを止め、唯一のプロポーションを探求し創造した帽子クロシャール・ド・リュクスとバッグLISBONは、ブランドのぺルマナーンスを具体的に示す作品になりつつありました。
2005年、それまでブランドカタログとして発表した写真を再編集して出版する話が出ると、JacquesとMasumiは、全編ヘキサクロム印刷で作ることに決めます。
完成した「JACQUES LE CORRE PHOTO BOOK」の表紙、そして全てのページに写る鮮烈な色。被写体自体が発光しているような独特な色合いは、再び新たな視点で訴えかけてきます。ビジネスの状況に敬意を払いながらも、その結果に媚びず、新しい挑戦を続けていくことは、ブランドにとって、またクリエイターにとって、欠かせないことです。
― 創造に関わるひとつひとつの行為が絶え間なく続けられていくことでにじみ出す光が、それを身に着ける人と呼応し、いつまでも美しく輝く―
JacquesとMasumi、二人がJACQUES LE CORRE に注ぎ続けるぺルマナーンスです。

♪Sous aucun prétexte, je ne veux
Avoir de réflexes malheureux
Il faut que tu m'expliques un peu mieux
Comment te dire adieu

♪Comment te dire adieux/ Françoise Hardy