JACQUES LE CORRE パリ物語Vol.01


完璧であふれる美の結晶のような帽子と共に、突然パリに現れたJacques Le Corre。


アッシュ・ペー・フランスと組んで手掛けたバッグや靴は、想像以上に独創的で人目を引くためか、おもしろいデザイナーと言われることもありましたが、それは彼の才能に対する正当な見方ではありません。彼は作ることについて一切手を抜くことのできない、目に映るもの全てから創造する天性のクリエイターです。その彼が終生の仕事としてこだわり続けたのが、JACQUES LE CORRE コレクションと写真でした。彼の目の奥にあるもう一つの目がとらえたものを記録した写真を通して今この時代を感じてみたいと思い、Jacques Le Corre写真コレクションの一部を数回にわたり紹介します。

チュイルリ庭園からのエッフェル塔

ピラミッド脇の噴水 ルーブル宮殿

JacquesとMasumi


1985年にブランドJACQUES LE CORREが誕生してから30数年、彼の最初の10年は独りでオー・ト・クチュールを手掛け、アトリエでの制作に没頭。次の10年で、大前ますみと二人によるクリエイションに挑戦。この間に時代は大きく動き、フランスの帽子やバッグの工房が次々に閉鎖する中で、独自の帽子工房を持つ決断をします。時代の流れとは逆行していましたが、二人なら続けていけるだろうという、たったひとつの理由は、彼の大きな希望でした。2010年に彼はこの世を後にしますが、彼の願ったとおりMasumiによってJACQUES LE CORRE コレクションは1度も休むことなく続いています。第1回目の写真は、二人でのクリエイションを数年経験した頃、Jacquesの好きなパリの場所を撮影し写真を送って欲しいという依頼に、Jacquesが全く応じようとしなかった合間に撮影されました。また、住所不定の女性の写真は、Jacquesのアパートの近所に住んでいた女性のものです。彼の生活動線と彼女のそれが交差していたため、いつからかその隣人をプパと呼び、日常的に撮影するようになりました。Jacquesの好きだった「I Love Paris」の音楽にのせて、彼の愛したパリをご覧ください。

住所不定のプパ

プパのテーブルに置いたE.T.

I Love Paris


♪I love Paris in the spring time
 I love Paris in the fall …
「なんでパリの写真を撮らなきゃいけないんだ」
「日本のJACQUES LE CORREブランドファンにJacquesの好きなパリを紹介するためだから、Jacquesの好きな場所の写真を撮ろうよ」
「なんで…なんで…なんで、パリの写真なんだ…」
「ルーブルとか、チュイルリとか、いいじゃない」
「…」
「大好きなクール・カレもいいじゃない? シナトラも歌ってる」
「…」
♪I Love Paris every moment…
「Masumi、今日の空がいいよ。ルーブルの写真を撮ろう」
「おっ、撮ってくれる気になったんだ!」
「雲が消えないうちに、行こう」
♪Every moment of the year
「Masumi、見て見て」
「あっ、プパだ」
「よし、彼女が居ない間に行こう」
「どこへ?」
「プパの家だよ」
「どーして?」
「この間、投げられちゃったE.T.をプレゼントしに行くに決まってるじゃないか」
「あぁ、それね…また行くんだ…反対方向なのに…」
「アレ、アレ!」
♪I Love Paris
 Why Why do I Love Paris
「どうMasumi、ここでいいかな…」
「いいんじゃない。帽子がミニョンじゃん」
「そう、もちろん。JACQUES LE CORREだから」
「Jacques、午後は次のコレクションの素材決めないといけないから、早くしようよ」
「パ・マル…よし、お昼食べに行こう」

クール・カレ ルーブル宮殿

イノサン広場

E.T.とプパの家

プパの引越し

PHOTO : Jacques Le Corre