アッシュ・ペー・フランス株式会社 代表取締役
CONTEMPORARY EXPLORER 村松孝尚



私は1989年Parisで、ガラス玉に水と草の入ったStefano Poletti(ステファノ・ポレッティ)のネックレス、真鍮の指輪に愛の詩を刻んだSERGE THORAVAL(セルジュ・トラバル)、当時は何も入れられなくて三日持てば取っ手がとれてしまったJAMIN PUECH(ジャマン・ピエッシュ)のハンドバッグと出会いました。
Mathias & Nathalie(マティアスとナタリー)のアート作品を土産屋で見つけ、彼らのアパートまで探し追いかけました。試験管を並べて花器にしたTsé&Tsé(ツェツェ)にも出会いました。ツェツェの二人は学生時代に知り合ってそのままブランドを立ち上げています。おそらく学生の二人には試験管は花器にしか見えなかったのだろうと思います。ミニマリズムで光と水の彫刻家Ante Vojnovic(アンテ・ヴォジュノヴィック)とも出会いました。みんな、Françoise Seigle(フランソワーズ・セーグル)が出会わせてくれました。Françoise Seigleは私に「何が美しいか」を証明してくれました。
  
私にとっての仕事は、日本人に何が売れるのか憶測することではなく、「何が美しいか」を、「創造者の世界観」を、より忠実に受け手側に伝えることでした。Françoise Seigleもまた創造者であり、私は彼女の世界観のとおりに動きました。それは私の世界観の実現でもありました。
Françoise Seigle Carroll(フランソワーズ・セーグル・キャロル)


「物を売る仕事」と「クリエイターの世界観を伝える仕事」では、似て非なるもので入り口から違います。出口はまったく違うものとなります。
  
例えばバッグを売るとします。「物を売る仕事」では、ターゲットは何歳?所得は?以前何を購入している?データから商材とターゲットを絞り込みます。「世界観を伝える仕事」では、受け手側の共感を求めます。だから創造側が何を見せたいか、何を伝えたいかに集中します。より自分を主張します。「世界観を伝える仕事」は一人ではできません。「創造者」「伝える人」「共感する受け手」が一体となり、一つの創造的なコミュニティを創り出します。これは未来という喜びになります。
  
一方、「物を売る仕事」は明日何が売れるか必要とされるかを的確にとらえます。この仕事での失敗の確率は「世界観を伝える仕事」に比べ格段に改善されます。
言うまでもなく、私もFrançoise Seigleも、「クリエイターの世界観を伝え、共感するコミュニティを創造する仕事」を選択しています。それがアッシュ・ペー・フランスの魂です。
  
2019年という新しい年を迎えるにあたり、創造者達にとって、皆様にとって、私達にとって、素晴らしい1年でありますことを願っています。