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2021 Supring Summer Collection


ぶつぶつと途切れながら、思うように動かない足を引きずりながら歩いているようなもたついた長いイントロの後、「I think I can solve it」というバースから始まる「Gospel For A New Century」はアメリカ、テネシー州出身のYves Tumor(Tumorは腫瘍の意)によって紡がれた異形、ナルシズムへの現代の福音である捉えられる一方、ある種の虚勢や目では捉えることのできない心象への執着のあらわれとも感じられます。

2021SSコレクションの起点は、Sarcophagus(石棺)のタイトルが示す通り、肉体とそれを取り巻くごくごく狭い範囲の環境との動的な関係性に衣服を通して迫ろうとした一連のプロジェクトにあります。石棺と言うと、重く硬いさまを連想されるかもしれませんが、香水が揮発してヒトの体の周囲を取り囲むような軽さをイメージしながらデザインしていきました。また、布地のセレクションや、全体のムードを決めていく過程に取り掛かる7月頃から肉食をほとんど断ち、習慣からの脱却がどのように思考に影響を与えるかを検証を進めました。

2020AWコレクションを経て、自宅で1日のほとんどの時間を過ごした4月からの数ヶ月の日々で社会への帰属とはなんであるか、この風土で生きていくことはどんな意味を持つのかについて頻繁に考えるようになっていました。何かが劇的に変化するわけではなくとも、明らかにこれまでとの異なる変化の仕方に戸惑うことも多く、私生活の延長にあったはずのこれまでの服作りのリズムを失ってしまったように感じることもありました。超個人的な生活はさながら現代のプロブレマティカ(古生物学における由来の特定できない、その近縁種ですら類推できない化石のこと)のように感じて嫌気が差すことも多い中、これまであまり触れてこなかった、デカダンス趣味やグラムロックなどに無意識に惹かれていたように思います。今回のショーはPERMINUTEにとって初の野外開催となり、渋谷の街の景観や空気とどのように乳化していくのかを実験する場としての意味も同時に持っていました。これまでのドレスやワンピースの有機的なカッティングに加え、アウトドアシーンを思わせるナイロンのバッグパックや、ハリのあるキルティングなどがそのインターフェイスとなりうるよう、イメージを膨らませてきました。

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高校生の頃、「まつろわぬ」という言葉があることを知りました。「服ふ」「順ふ」など服従を意味する「まつろふ」の反対の意味で使われるこの言葉が頭から離れず、身体と衣服と社会をぼんやりと立体視するように眺めながらこのコレクションの制作に取り組みました。

designer : 半澤慶樹





デザイナーは半澤慶樹。1992年福島県生まれ。
文化服装学院卒業ののち、ここのがっこうに入学。
2016年、17SSよりブランドPERMINUTE(パーミニット)をスタートさせた。

「カッティングとテキスタイルの双方からユニークな実験を通して、
これまでにない新しいファッション性を提案する。」
をコンセプトに、生命と衣服の新しいかたちを創造する。