手仕事の熟練と、デザインの洗練


「贅沢」という言葉の使いみちは人それぞれながら、その「沢」という文字は本来、たたえた水を表し、「つや」や「うるおい」を意味していると言う。
漆の仕上げでもたらされたつやめきが、無垢な白のなめし革を引き立てる文庫革。古くは播州姫路より伝わる由緒正しき伝統工芸を、向島の職人たちが独自の手法を取り入れながら受け継いだ、唯一無二の手しごと品だ。薄く均一な純白の牛革を浮世絵や伝統柄をもとにした銅版型で押す。ぷっくりと立体的に表れたその絵柄を、今度は小皿に分けたとりどりの塗料で、ひと色ひと色、丹念に彩っていく。筆づかい、ぼかし、熟練の技と集中力によって、真っ白な革にいきいきとした世界が生まれて来る。
そして、精緻な型押しをくっきりと浮かびあがらせるのは、粒子の細かい真菰(まこも)の粉。これをまぶして溝の部分を埋めることで、たちまち絵柄が際立ち、かつ全体に味わい深い古びが出る。
職人たちは日本人らしい一途なひたむきさで、確かな品質の文庫革財布を次々と仕上げていく。この美しいしごとに惚れ込んだ水金地火木土天冥海が、ショップの世界観と現代人の感覚をエッセンスに、オリジナルの配色や絵柄でオーダーをかけて生まれたのが「水金の文庫革」シリーズである。

文庫革の財布は、革製品としては格段に軽くかさ張らない点も特長の一つ。
最もコンパクトなカードケースタイプはポケットが3箇所付いており、名刺や定期券の収納にも適している。小銭入れに、ハンドバッグ用の財布に、ジュエリーケースにと汎用性の高いがま口は、贈り物として選ばれることも多い。二つ折りタイプのがま札財布は、昔ながらの使い易い小銭入れが好評だ。柄行きを存分に楽しめる長財布は、男性にも好まれる薄手の札入れと、収納力にこだわったショップ限定のがま長財布の2種類が用意されている。

工芸が育まれるまでの長い歴史と、職人が技に磨きをかける歳月。価格でも、ブランドでもなく、時と手のかかった逸品を愛用する充足感、それを「贅沢」と呼ぶ感性こそ、今日の日本人らしさなのかもしれない。