クリエイターが教えてくれたこと

Vol.2 FALIERO SARTI


―H.P.FRANCE PR 江間 亮子(えま りょうこ)



クリエーターが表現するものは、完成品から得られる表層的なものに留まらない。一個人としての思想や哲学、おかれた時代の呼吸、その全てを内包すると思っています。そんなクリエーターの「人」としての一面を感じてもらいたく、彼らとの想い出と共に、私的に綴ります。



H.P.FRANCE PR 江間 亮子(えま りょうこ)

90年代の「フレンチスタイル」ムーブメントの洗礼を受け、一歩でもフランスの文化に近づきたく、96年にアッシュ・ペー・フランスの門戸を叩く。以降ファッションの持つ魔力に囚われて、「伝える人=PR」であるべく奮闘中。



大好き、ファリエロ・サルティ


今年ブランド創立70周年を迎える歴史ある老舗テキスタイルブランドであることは、ファンの多いブランドながら、意外と知られていません。
FALIERO SARTIの始まりは、1949年イタリアのフィレンツェでファリエロ・サルティ氏によって創業されたテキスタイルメーカー「SARTI社」まで遡ります。1950年代といえば、戦後から消費社会の復活を遂げた時代。自由に憧れを持ち、新しい価値観でファッションの世界も華やかに変化していく。クリスチャン・ディオールがニュールックを発表したのも、ちょうどこの時代。生地をふんだんに使ったボリュームのあるスカートや、クリストバル・バレンシアガの立体的なコクーンシルエット登場などからも、新たな時代の潮流が見て取れます。こんな時代背景もあり、高級糸と卓越した技術を駆使したSARTI社のテキスタイルは、瞬く間に有名メゾンから注目され、確かな信頼を得るテキスタイルファクトリーに成長していくのです。


過去に発表されたFALIERO SARTIアーカイブコレクション


実は日本との繋がりも深く、戦後にイタリアンテキスタイルメーカーとして上陸を果たし、サルティ・ジャパンを設立。日本における輸入テキスタイルの先駆けとしてマーケットを確立しました。その後、サルティ氏の息子ロベルト氏が会社を引き継ぎ、2000年、ファリエロ氏の孫娘であるモニカ・サルティがSARTI社のテキスタイルを使った「ストール」 のブランドとして、創業者である祖父の名前を冠した「FALIERO SARTI」コレクションをスタートしました。

彼女は、それまでのストールの常識を覆し、布地の厚さを極限まで薄くライトな仕上がりにし、縁かがりも無くして、空気のように柔らかく首周りを包む、独自のスタイルを考案。テキスタイルメーカーならではの素材研究に加え、シンボリックなプリントや、アーティストとのコラボレーションなど、パワフルなコレクションで私たちを魅了し続けています。
創業当時に使用されていた手動の機織り機
イタリア・フィレンツエにある本社の工場
そんなファリエロ・サルティのストールとの出会いは、ブランドスタートから程ない頃。当時、日本的感覚では「マフラー」が主流で、防寒は然ることながら、ファッションアイテムとしての「ストール」との出会いは衝撃的でした。巻き心地はもとより、着けこなし方、そのコーディネートで仕上がるシルエット、全てが新鮮で、まるでヨーロッパの空気感を丸ごと身にまとうようなFALIERO SARTIのストールに、私は魅了されていきました。

そして、このブランドに魅了されたもうひとつの理由が、私は偏愛的に「生地=テキスタイル」好きだということ。その原点は幼少時代のある慣習に遡ります。服飾の学校で就学経験のある母の趣味は、姉妹だった私たちの洋服作りでした。幼い頃、母は私を連れ立っては、足しげく街の生地屋さんを訪れ、仕上がる洋服を想像しながら生地を選ぶことを楽しんでいました。母の高揚も相まって、そこは幼い私にとっても、魅惑的な場所となりました。ずらりと陳列されたテキスタイルの反物は、幼い私の未熟な感性を刺激するに十分だったのです。この少々ノスタルジックな記憶と体験が、後にフェティッシュなまでにテキスタイルに惹かれる布石となっているような気がします。
イタリア地図にイタリアンカラーを飛ばした“That's Amoreストール”
70周年限定コレクション“Modelストール”
デザイナーであるモニカの幼少時代にも興味深い逸話があります。少女時代の彼女のお気に入りの遊びは、ファリエロ氏に頼まれたカラースワッチの整理でした。無数の生地見本をグラデーション順に整理するというその「遊び」は、幼い彼女を夢中にさせ、着実に色彩感覚を身につけて行きました。膨大な量の生地スワッチに囲まれて、色と素材と奮闘する幼きモニカを想像するだけで、私まで何だかわくわくします。

FALIERO SARTIのコレクションは、最高峰の素材と技術で仕上げた上質なテキスタイルが大きな魅力のひとつです。また、これまでのストールの概念を逸脱した、大きく、薄く、空気をはらんだような巻き心地は、まさに新境地を築いたと言っても過言ではありません。
ストールの「巻く・装う」という本来の機能は然り、ヨーロッパ特有の色彩感覚で仕上げられる視覚的な満足感も秀逸です。愛してやまないFALIERO SARTIのストール。シーズン毎に届く膨大な数のストールを前に、私はいつも、至福のため息を漏らすのです。



Monica Sarti
Coming for POP UP EVENT!!




全国5箇所にて、FALIERO SARTIの70周年記念ポップアップコーナーを展開。アーカイブを掘り起こし現代にブラッシュアップさせた特別なコレクションを、バリエーション豊かにご紹介します。
さらに期間中は、松屋銀座・梅田阪急・伊勢丹新宿の3店舗にてデザイナーのモニカ・サルティの来店イベントを開催。
ぜひこの機会に、見て、触れて、 FALIERO SARTIの魅力を体感下さい。

松屋銀座 H.P.FRANCE Boutique 10月16日(水)~11月4日(月) 入店イベント:11月3日(日) 14:00-16:00
梅田阪急 コトコトステージ31 10月30日(水)~11月5日(火) 入店イベント:11月2日(土) 14:00-16:00
伊勢丹新宿店 本館1F 婦人雑貨 10月30日(水)~11月5日(火) 入店イベント:11月4日(月) 14:00-16:00
博多阪急1F イベントスペース 11月13日(水)〜19日(火)
大丸梅田店3F 西南イベントスペース 11月20日(水)〜26日(火)
※イベント時間は変更になる可能性もございます。ご了承下さい。