『私は、ロボットではありません』


湯沢 由貴子




最近、フランスの携帯会社SFRと契約したのですが、FACTURE(I NVOI CE)をSITEから取り出すためにパスワードをいれると、「私は、ロボットではありません」という一文が出てきます。そしてこれをクリックして進んでいくのですが、この「私は、ロボットではありません」を妙に納得してしまう自分がいて、ここ数ヶ月心の中に響いてぐるぐると回っています。

MODE(FASHI ON)の世界で働き、はやくも40年近くが経ち、今まさに業界全体の大きな変化を感じられずにはならない日々を過ごしています。この職業に就いた頃は、わずかながら「お誂え」という言葉が残っており、自分の身体に合ったサイズで生地を選び、ボタンや付属品と言われるパーツを選んで服を仕立て、購入するという方々がいたと思いますが、その後は、ご存知のとおり、既製服一辺倒の時代!まさに「トレンド」という大きなキーワードのもと、服に身体を合わせていく時代になっていきました。今再び、ロボットやAIを駆使した物作りやオーダーが叫ばれている中、BUYERとして商品をセレクトし、店舗を運営していく私達は、新たな知恵と力を出して、物をお売りすることを考えていかなければならない時代になった、と思っています。時代を感じ取り、そこから生み出される真のクリエイションを服に投影するクリエイターの商品を見て触って感じ取り、感動!と勝算(そう、商売なのでもあります。ものが動いていかなければ、ビジネスは成立しないのです。)をBUYERとして組み立てていくことは、大きな快感でもあります。「目利き」であること、がプロとして必要不可欠なのですから。
自らのアンテナが、赴くまま最高のクリエイションをセレクトしていき、それに評価をいただく…新たな時代の「美」を求めクリエイターも買い付けをする人も、販売する人も、それを着る方々も努力をしていく。身体にぴったりだから○、ではなくMODEに自分の時代感を委ねるくらいの気持ちで服に袖を通したくなる…そんな高揚感あふれる商品の集まった店舗をやり続けていきたいと思っています。
『私は、ロボットではありません』なのですから…。

湯沢 由貴子(ゆざわ ゆきこ)
CONCENTO PARIS H.P.FRANCE バイヤー