Does art matter to you ?


戸塚 憲太郎




 
 
Art matters.
Matterは「しっかり考えるに値する重要なこと」という意味で、Art matters=アートはとても大切なことです、と訳せます。
なぜアートは重要なのか。アートという言葉は、ここ数年でかなり身近になりました。アートには何か魅力的な力が隠れているような気がします。
 
 
は「アート」とは?
絵画や彫刻、デジタルアートやパフォーマンスまでその表現方法は様々です。アートに正解はなさそうですが、誰とも違うオリジナリティ、そして見たこともない新しさは、私達が当たり前だと思っていることを変える力を秘めています。私は「オリジナル」と「新しい」に価値があり、それが社会の豊かさに繋がるからアートはとても大切=ART MATTERSだと信じています。では「豊かさ」とは?
豊かさの定義は難しく、場所や時代によっても大きく異なります。お金をたくさん持つことが豊かなのか、テクノロジーが進化して便利になることが豊かなのか。お金もテクノロジーも生きていく上では必要なものではありますが、お金やモノがあっても、いかに便利になっても、それがそのまま豊かさにつながるわけではありません。豊かさとは、感情や健康、人間関係などバランスが取れている状態、すなわち「平和」ということかもしれません。
アートが平和への答えだとは思いませんが、言葉や文化を超えて豊かさの意味を考える「きっかけ」をくれる、私達になくてはならない壮大な問いです。
 
 
かさに近づくプロセスとして、「より善い社会」を目指すことから始めたいと思います。「より善い社会」とは、「昨日より善い今日」のことです。私達は毎日生活をしています。自分、家族、友人、同僚、仕事といった「社会」の中で。
「より善い社会を作ろう」というと大げさに聞こえますが、自分が日々の生活している社会にどういう気持ちで接するのか、どうしたら昨日より今日を、明日を今日よりも善いものにできるのか、という姿勢で生きることはとても自然なことです。今日より悪い明日を、誰が想像したいでしょうか。それはアーティストがより善い作品をつくるために日々考えること、制作することに似ているかもしれません。
 
 
イツのアーティスト、ヨーゼフ・ボイス(1921-1986)は、「私達は皆、自分をアーティストと思って社会に関わるべきだ」と唱え、自らのクリエイティビティによって社会をつくる「社会彫刻」というコンセプトを提唱しました。私達が明日の社会を創造性によって作っていくという「社会彫刻」こそが未来の芸術のかたちと信じていました。そして、その自覚を持ち行動する人は「誰もが芸術家」であると説きました。自分の生活や社会を作品と考え、今後どうしたいのかというビジョンを明確に持ちながら生活する。仕事、家族、教育、人間関係、今日の自分の一日を作品として考えることで、誰でも未来の社会を彫刻できる(未来を作れる)し、そうしなければならない、という呼びかけでした。ここでの「彫刻」という言葉は構築すること、創造することのメタファーであり、ボイスの中ですでに芸術はいわゆる絵画や彫刻というものから、思考や本質という概念に移っていたと思われます。
 
 
活の中にアートが必要な理由はそこにあります。日々の生活が、自分の作品として社会と関わるとなれば、誰でも昨日より善い作品を生み出したくなると思います。私達一人一人が昨日より善い今日、今日より善い明日を目指せばアートを通じてより善い社会が作れると信じています。
 
 
H.P.FRANCEでは、アート感を取り入れた生活をお客様に提供する活動「ART MATTERS」をスタートします。アートが私達の社会を豊かにすると信じているからです。まずは2019年9月開催のrooms39から。そして10月は「青参道アートフェア」を中心に、全国のH.P.FRANCEで「アート感のある生活」に関わる企画を実施する一ヶ月となります。H.P.FRANCEからアートを通じて豊かさを提供することを目指します。
 
 
戸塚憲太郎(とつか けんたろう)
hpf Christopher Inc.
ART Div. / hpgrp GALLERYディレクター