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2018.07.20
here and there vol.13 HYACINTH REVOLUTION by谷口真人×志村信裕


lamp harajuku B1F Gallery
here and there vol.13 HYACINTH REVOLUTION by谷口真人×志村信裕
2018.7.20(Fri)~7.31(Tue.)




林央子がファッション、アートのジャンルを独自の視点で追い編集する個人雑誌、『here and there vol.13』「ヒアシンス革命」の発売を記念し、B1galleryにてイベントを開催いたしました。

本誌に参加したLampharajukuにも所縁のある作家、志村信裕と谷口真人のの原画をプリントしたスペシャルロゴ入りトートバックと描き下ろされた志村信裕の原画を展示販売、また、本展示に伴い、林央子と両作家による「絵が生まれるまで、絵について」の手紙のやりとりが行われました。













 

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To Makoto Taniguchi

ー絵はどのようなときにおりてくるのですか?

Nakako Hayashi (以下NH)
今年の冬、谷口さんが描かれた絵がもとになってランプハラジュクで特製限定トレーナーやキーホルダーが生まれました。そのときに描かれた女の子、「あかり」ちゃんが生まれたいきさつを教えてください。ソフィア・コッポラという存在や彼女の映画「ビガイルド」への共感があって生まれたのですか? どういう道具を使って描かれたのですか?
Makoto Taniguchi(以下MT)
共感があるかといえば、それはわかりません。映画は完全なる他者でした。
「ビガイルド」を観たときに印象的だったのは登場人物のまなざしでした。そこには人間同士が関係する事で生まれる感情がありました。それは瞳の奥のほの暗い灯りとして感じられました。またもう一つ印象的だったのは、閉鎖的な空気を象徴するかのように物語の世界を照らすろうそくの灯りです。これらのことを考えながら、自分のたまたまのその時の気分などが混ざり合って、生まれてきました。映画は複雑でしたが、普遍的な何か一つのことを言っているように感じました。その普遍性が「あかり」ちゃんaka The Glowちゃんというまとまりとなったんだと思います。絵ははじめ、PCと鉛筆とスケッチブックの紙で作られました。私にとっては、PCでスキャンしてみることというのは単なる作業でなく、それ自体が絵筆や鉛筆で描く行為と等価です。そうして描いた絵が、特別な紙にインクジェットインクで描かれることで、またトレーナー、キーホルダーに描かれることで、それらは個別に完成した絵になります。

NH 今回の『here and there』vol.13販売記念イベントでトートバッグに印刷された絵は、どういう経緯で描かれたのでしょうか? 誌面に紹介されていた絵とは異なるものですか?

MT『here and there』掲載の作品は、制作中にヒアシンスと結びついていました。その作品はヒアシンスを描いたものではなく、当初は無関係にあったものです。それが、シリーズの一部が完成する頃にはそこにつながりを見出すようになりました。対してトートバッグに印刷された絵は、「ヒアシンスを描く」とはじめから思って描いたものです。ヒアシンスの花が咲いて、枯れ、その後その花や葉のことを思い出して描いたのです。

NH 女の子に名前はついているのでしょうか?
MT トートバッグの絵は「ヒアシンス」ちゃんと呼んでいます。が、私がそう思っているだけで、その名前をつけた、という感じではありません。とりあえずそう呼んでいる、という感じです。

NH 谷口さんは今回初めて、化粧品を用いて絵を描いたと伺っています。どんな化粧品を使われたのですか? アイシャドウですか?
MT 資生堂メーキャップのアイカラーとアイライナーです。これにアクリル絵具を併用しました。化粧品で絵を描くのは試したことはあるのですが、ちゃんと発表したのは初めてです。

NH通常絵を描かれているときに使用されている絵の具と化粧品との違いをどのように感じられましたか?
MT いつも使用している絵具よりも物質的でそれがこびりついて絵をなしているような感覚でした。これによって生じる描きたいものとそれを宿す物の関係の塩梅は自分の主題に合っていたように思います。また、みずみずしく人間の肌に馴染むよう考えられた色のようで、人工的な自然という点も合っていました。

NH 描かれた女の子は、実在する女の子とは次元の異なる存在なのでしょうか? 私たちと同じ世界の住人なのでしょうか?
MT これは難しい質問です。あなたの内にあるものは私たちと次元の異なる存在かどうか、と同じに思います。

NH「好きな絵」という言葉から連想される絵はどんな絵ですか?
MT下の回答の様な絵、ということ風に連想します。

NH 芸術は人に対してどのような作用を持つと感じていますか?
MT 最近、ニューヨークへ行った時に思ったことですが、美術館やギャラリーに入って作品を見ると、自分が何者かということを思い出すように感じました。空間や作品やそこで尊重されているようなことなど、あらゆることが、私に人間性を取り戻させるような感じがしました。芸術には、そもそも役割はなく、役に立つものでもなく、結果的に持ちうるということだと思うのですが、こう言った意味での癒しや、人間の拡張、未来へのまなざし…など、レベルの異なるたくさんの作用があると思います。

2018.7.12
Nakako Hayashi 林 央子 hereandtheremagazine.com
Makoto Taniguchi 谷口真人 makototaniguchi.com 
協力:SHISEIDO

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To Nobuhiro Shimura

ー絵はどのようなときにおりてくるのですか?

Nakako Hayashi(以下NH)
『here and there』vol.13のヒアシンス特集に絵を寄稿しようと思ったのはなぜですか?
Nobuhiro Shimura(以下NS)
当初は写真や映像に残すなどのアイデアがありましたが、こちらの思惑を裏切る速さで成長したため(本誌参照)、記録する準備ができないまま萎れてしまいました。一ヶ月ほどさてどうしようかと考えあぐねていましたが、パリから帰国後すぐに記憶と印象を頼りに絵を描こうと決めました。思い返すといい判断だったと思います。

NH この絵はどんな時間に、どんな場所で、何を道具として描かれましたか?
NS 確か、3月末にあったオーストラリアの個展から帰ってきて間もなく、実家のダイニングテーブルで描いた記憶があります(千葉に引っ越す直前でもあったので記憶が曖昧です)。出雲民芸紙という手漉き和紙と15年以上使っている水彩絵具のセットで描きました。

NH その時間帯、場所、道具を選んだ理由はそれぞれ、何だったかと思われますか?
NS 実は和紙に絵を描いたのはこの時が初めてでした。というのも、オーストラリアの個展で和紙を使った本の作品(『虹の音』)を出品していたのですが、発注ミスをしてしまったため、偶然にも50枚以上もの白紙の和紙が手元にあったからです。和紙にヒアシンス。ミスマッチなようで一瞬ためらいましたが、自分らしい気もしてチャレンジしてみました。結果的に、新しい素材に触発されて、いい線が描けました。

NH ヒアシンスを育てるなかで、どの状態が一番すい込まれましたか?(つぼみ、さきかけ、満開など)
NS 本誌に書いたのでここでは省略します

NH 花を育てる体験によるセンセーションが、絵を描くという行為を導いたのでしょうか?
NS 成長に振り回されましたが、育てた時間というのは大事だったように思います。記号・説明的なヒアシンス像ではなく、自分だけの固有の経験が一枚の絵に定着している気がして、絵というのは改めて不思議なものだと思います。

NH 人がおこなう行為のなかで、絵を描くというのはどのような行為だと思われますか?
NS 毎日描いていないので分かりません。いつか言葉にできたらいいのですが、分からないままでもいい気もします。

NH 日常のなかのどんなタイミングで、絵を描こうという気持ちが芽生えますか? それは写真や映像を撮ろうとする気持ちとは別なものでしょうか?
NS 自分の場合、日常を離れた時に絵を描きたくなります。旅先やレジデンス先で見える景色の中で絵を描くのが好きです。今回のヒアシンスを描いた実家のダイニングテーブルも、オーストラリアから千葉に移るまでのトランジットのようなスペースだったのかもしれません。自分にとって絵とは時間と場所を選ばない、即興のメディアです。描きたい時にすぐに描けるようになるべく道具と紙は揃えていますが、偶然その時にあるものや素材に影響されて生まれてくるのが写真や映像と決定的に違う点だと思います。

NH 描いているうちに、これまで気がつかなかった自分と出会うような場面はありますか?
NS 詩的な質問ですね。残念ながら絵を描いている時にそのような体験をしたことはありません。やはり自分の主戦場は映像なんだと思います。

NH「好きな絵」 と聞いて心に浮かんだ絵について教えてください。
NS マティスの絵。「肘掛け椅子のような絵を描きたい」という彼の残した言葉も好きです。

NH 芸術が人にあたえる作用は何だと思われますか?
NS 歴史とつながっていることへの安心感と畏敬。仮に、その二つが無い社会を想像するとぞっとします。

2018.7.15
Nakako Hayashi 林 央子 hereandtheremagazine.com
Nobuhiro Shimura 志村信裕 nshimu.com

 



【林央子(ライター/編集者)】
1988年、資生堂に入社し『花椿』編集部に所属する。1993年パリコレ取材を始め、年に2回のコレクション取材を続けながら『PURLE』編集部のエレン・フライスと交流を深め、彼女の媒体に度々、寄稿。1990年代半ばから『DUNE』や『STUDIOVOICE』などにも執筆する。ガーリーカルチャーに興味を抱き、1996年渋谷パルコで開催されたソフィア・コッポラを軸とする5人の女性作家による「BABYGENERATION」展の企画に参加。ADにマイク・ミルズを招き、ホンマタカシ撮影によるカタログ『BABYGENERATION』を制作した。資生堂を退社してフリーランスになった翌年、個人雑誌『hereandthere』を創刊(2002)。ADに、同時期にフリーランスになった服部一成を招いた。2011年書籍『拡張するファッション』(スペースシャワーネットワーク)を上梓。2014年には同書のタイトルを冠した『拡張するファッション』展のキュレーションに参加(水戸芸術館現代美術センター/丸亀市猪熊弦一郎現代美術館)。著書や編著に『BABYGENERATION』『PARISCOLLECTIONINDIVIDUALS1・2』(リトル・モア)、『拡張するファッション』(スペースシャワーネットワーク)、『拡張するファッションドキュメント』(DUBOOKS)『SETPICTURESBehindtheSceneswithSofiaCoppola』(DUBOOKS)がある。


【谷口真人/現代美術作家】
1982年生まれ。アーティスト。東京都出身。映像、ミクストメディアオブジェクト、絵、インタラクティブインスタレーションなど複数の表現形態の作品を国内外で発表。最近ではCondoNY2018(PetzelGallery/ニューヨーク)、めがねと旅する美術展(青森県立美術館、静岡県立美術館、島根県立石見/青森、静岡、島根)等の展覧会、およびArtBaselinHongKong等のアートフェアで作品を展示する。
http://makototaniguchi.com


【志村信裕/現代美術作家】
1982年生まれ、現代美術作家。映像表現を主体に独自のフィールドワークを行う。2012年にLampharajukugalleryで個展、「Pocket」を開くなど、国内外で展示多数。2016~2018年、INALCO(InstitutNationaldesLanguesetCivilisationsOrientales)客員研究員(パリ、フランス)。http://nshimu.com