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2021.06.22
【うたかたの日々】刺繍さす 人の横顔が綺麗で 運命はやはり糸だと思う
written by tezuka


ノートの入った紙袋がぴんと綺麗だった。
文具店のカウンターで、店員さんが迷いなく真っ直ぐに封入し、サッスッとテープをとめてくれた。角が張り、しわなくふっくらとした茶色の袋。焼きたての菓子みたいに誇らしげだ。
きっとあの店員さんは決まった時間に風呂に入る。髪を最後まで乾かせるし、いい感じの家着を着てるし、仕事が終わって帰宅した後にも気のきいた料理を手早く作れる。
ブログのためにメモをとろうと思い立ったが、ペンを決められず40分も文具店をうろつき、ノートもどれにしていいかわからず無駄に3冊買い、おまけにカバンの中で飲み物をこぼし、何も書かないうちにビタビタにしてしまった自分とは、何もかもが違う。

朝、店が開く前、準備が整っているか全員で確認をする。
「奥の電気がついてないね。」あやさんにそう言われて、慌てて押したスイッチが、全然違う場所だった。
Lampには一階だけでたくさん電気のスイッチがあり、各々角度や明るさが違っていて、店を美しくする装置の一つだ。
他のみんなは押す前からわかっていて「そこじゃないよ手塚さん」と制止が聞こえたが、えっ、と声が出たのは押した後で、夕暮れてから押されるはずのスイッチが押された昼間の外窓は、とつぜん不要な光を足されて居心地悪そうにしている。
別に誰も気にしていないし、慣れだよと言ってもらえるけど、5年続けて「慣れ」になっても、3日休んだらきっとわからなくなる。そんなものだよ、得意不得意があるよ。とは言えあんたに限っては大丈夫か?自分の中の外野に刺される。だって未だに鶴が折れない。わたしの作る商品のお包みは、何度やっても少し歪でへなへなとしている。

今月お店では、「SINA SUIEN」の展示をしていいる。
6月にSINAあるよ。一足先にそう聞いた。朗報、天啓、光だった。ようやく、SINA SUIENの服を、手に入れるタイミングが来た!

SINA SUIENが大好きだ。
デザイナーの有本ゆみこさんが、デザインから生地の選定、縫製、刺繍、全てを自ら手がけている。
ヴィンテージの布地や古着が、巧みに選ばれ、はぎあわせられ、美しい刺繍が施される。絢爛で独創的な衣装たちは、見る者を圧倒する反面、強烈に受け入れもする。
はじめて聞くのに知っている、どこの国の言葉でもない歌。あなたを待っていましたと鍵を渡してくれる従者。光る招待状。歓迎のパーティーで着るドレス。奇妙で優しい生き物たちと、乾杯の美酒。一着ごとに目の眩むような物語が詰まっていて、対峙した人をあっという間に飲み込んでしまう。

昨年の展示「よるのしじま」ではじめて生の作品に触れ、そのエネルギーに度肝を抜かれたわたしが思ったのは
「子供の頃にだけ不思議な出会いが訪れるなんて台詞に、がっかりして悲しまなくて良かったんだ!!」ということ。
利口にしてれば選ばれるんだと迫る教訓にもうおびえなくて良いと思った。
わたしたちの現実に、こんなに美しい不思議が、人の手から産まれてここに存在してる!
選ばれなくたって、わたしたちにはSINA SUIENがある!

その日から、月に一万円を貯めた。
次の展示ではSINA SUIENの服を手に入れて、舞踏会にも海にも月でも好きに行ってやろうと思った。
お金を貯めるのも、こんなにはっきりと洋服が欲しいと思うのも、生まれてはじめてのことだった。

浮き世離れして眩しいのに、あたたかく手招きして素直に「着たい!」と思わせてくれる独特の雰囲気は、有本さん本人の夢への熱意と、ルーツの一つである少女漫画の世界にあると思う。

幼い頃の夢は漫画家だったという有本さん。
昨年出版された単行本「よるのしじま」に収録されている、漫画を描く自身を題材にした作品にて

小学校のときの夢は漫画家でした。と語る自分自身に向かって、
「小学校のときの夢!?」
「今もなりたいんだろ」
「だったら 描くしかない」
そう言ってテーブルを叩き、猛然と筆を握って執筆に向かうワンシーンがとても印象深い。

身をもって夢を現実に建立していく有本さんの作品だからこそ、受け手も照れ不要で夢を求めていけるし、
作品の随所に見え隠れする少女漫画の世界観が、日本人にとっての出汁や醤油のようにDNAに刻まれた「わたしだけの大切なお友達」を呼び覚ましてくれる。
だから、豪奢な作品にもむくむくと愛着がわいて、「わたしたちには SINA SUIENがある!」と、旗でも振りたい気持ちになるのだ。

お金を貯めて一年たち、今年6月の展示がスタートした。ついにSINA SUIENを一着手に入れた。世界で一番幸せになった。
お金を貯められたのは前代未聞の出来事で、人生の年表に石碑が立った。SINA SUIEN基金設立記念碑。世間において多少いっぱしの人間になったかもしれないと浮かれた。
しかし数日後、いっぱしのシンボルである、その服をはじめて着た日、力が入りすぎて全ての行動が空回りした。帰路、悲しみを振り落としたくて気分に近しい詩を音読しながら歩いたら道に迷い、スマホの電池も切れ、家にたどり着いたのは夜が明けてからになった。
玄関をくぐり手を洗う。
今日突然に力がみなぎり、背筋が伸びて手先も器用になり、勇敢に人を助けて拍手喝采が巻き起これば良かったのになあ。いや、選ばれなくていいんだったっけ……。
水を止めて顔をあげると、鏡越しのSINA SUIENが夜明けの光の中にあった。
綺麗!
よし、月行ける。
瞼の裏で月面を浮遊しながら、帰路の録音を聞いて、なんじゃこりゃって笑いながら寝た。



最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
私と同じようにSINA SUIENが大好きなお客様からの「SINA SUIENを買うのって、どんな人ですか。」というご質問から、このブログになりました。

SINA SUIEN展示「あまい おんな 2021」は6月29日(火)まで開催中です。
ぜひ、たくさんの方に見ていただきたいと心から願っています。


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