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2019.03.01
コラム 「サクラサク 」
3月といえば受験シーズンも終盤。
国立を除いて私立大学ではもう合格発表も出揃った頃ですね。

電車の中では一生懸命に、英単語や古典古語、地歴の本を開いて頭の中へインプットしている高校生や浪人生らしき方々を見かけました。


そういえば、東横線のある受験生は『源氏物語』を翻訳と古文で暗記していました。


昔、選択科目の国文科の授業で「若紫」を興味本位で履修しましたが…





原文のくずし文字の教科書を、辞書をひきひき長い時間をかけて予習をしたのは良い経験でした。





同じ日本人なのに異次元の世界が体験できるわけです。文字ひとつで。

よく考えると1000年前の古文はもう殆どの現代人は一部の専門家を除いて読む機会もなくなってしまいましたね。




受験はこれからの山あり谷ありの出来事に耐性を作る、人生の経験の通過儀礼。

失敗はつきものです。それ以上に成功は今後の人生に自信を与えてくれます。


さて私の受験を振り返ってみることとしましょう。

私が特に思い出に残っているのは、某国立大学の2次の小論文試験。


課題文は想定外の、日本の「愛国心」に関する評論文。

頭の中はホワイトアウト状態。 

恥ずかしながら今まで生きてきて一度も考えたことのなかったテーマ。


しかも問題文は「課題文を踏まえ他国民の愛国心を例に挙げ、2000字で述べよ」だったと記憶しています。

「え!? 他国の愛国心?」 自分の国でさえ真剣に考えてこなかった身にさらに他国の人の愛国心なんて・・・。

とりあえず下書きにいろいろと苦し紛れに書き出してみます。 

ベトナム戦争を経験を経験したアメリカ人。もしくは銃社会とアメリカ人。
スターリン主義を経験したロシア人。
ヴィシー政権を経験したフランス人。
ナチズムを経験したドイツ人。 

どれもこれもあやふやな知識の世界史のキーワードを出してみますが、筆が全く進みません。

そうこうしている内に時間も下書きで半分使ってしまい絶望的な状況に。

どのテーマもとても2000字で、しかも日本と結びつけて2重で「愛国心」を論じるなど当時の私には到底ムリな話でした。

当時選んだ題材は戦時中のドイツのファシズムと日本の愛国心について。

論旨の屋体骨は「ぐらぐら」です。

どれくらい「ぐらぐら」かと分かりやすい例でいうと・・・。

デザイナーにいままで経験のない12センチヒールを当日に履かされる。

そして薄暗いスポットライトの中、ツルツルのランウェイでバランスを崩して転倒してしまう素人モデル、みたいな感じでしょうか。


まあ結果は当然「不合格」。 


翻って自国のことばについて考えてみましょう。

民衆語から発生したイタリア語はダンテ以来15世紀から変わりません。

フランス語も17世紀から18世紀には現代語として確立されモリエールやラシーヌも読めるわけです。新興国のドイツ語もゲーテやシラーのころに確立されました。

一方で、日本語ほどその変遷の激しいものはありません。

明治時代の文章も現代人には厳しいでしょう。日本語のその自在な変化を伴えば日本人の思想も自ずと変化するのは自明のこと。 
ヨーロッパの哲学、思想が強固なのはその言葉や宗教がいささかもブレていないということもあるでしょう。


ではちょっと視点をずらしてみましょう。

てんとう虫は漢字で書くと「天道虫」 

キリスト教と深い関係にあるこの可愛らしい虫。聖母マリアの使いとも言われています。
背中のドットも「7」個のラッキーセブン。


ステファノ・ポレッティのアクセサリーにもしばしば登場するこの虫。自然と心の内面から愛しているのが作品からも感じ取れます。
西洋文化とてんとう虫は切っても切り離せないもの。





ジョン デリアンの書籍にも興味深いてんとう虫の図柄が紹介されていました。深みのある色合いの「天道虫」。


「愛国心」とはこういった宗教心からくる不断の歴史とは切り離せないもの。 そして心の内から自然に立ち現れるものではないでしょうか。

たとえば行政から「愛国の心をかたちで示せ」と強制するものとは違います。


もうすぐサクラの季節です。

冒頭で触れた『源氏物語』に登場する花は桜をさします。

日本人が日本の良さを心の内面から感じる短くも儚い季節を迎えます。


さて今年はお花見にどちらへ行かれますでしょうか?






コラム執筆 戒田 格(かいだ いたる)




2011年入社。学習院大学大学院フランス文学専攻修士修了。専門は19世紀フランス詩。
横浜goldie一筋9年目突入となりました。休日は朝酌、昼酌と叶巨壽庵の和菓子とウイスキー(サントリー知多)の宅呑みが至高の幸せ。
最近のお気に入りのドラマはスティーブン・キング原作の「ミスターメルセデス」(2018年アメリカ)。